戦法

一手損角換わりの手順とポイント

通常では、角換わりは「先手が攻めて、後手がカウンターを狙う」というものでした。
しかし、それでは後手が受け身になり、最悪攻めきられて何もできずに終わる可能性もあり、面白みが無いと考える人も出てきました。

そこで、脚光を浴びたのが、この「一手損角換わり」です。
「一手損角換わり」は、その受け身になりがちな、角換わりの後手番に革命を与えたのです。

この戦法は、関西の淡路仁茂九段が生み出したと言われています。
その後、2004年ごろから盛んに採用されるようになり、2005年の名人戦では7局中2局が「一手損角換わり」になりました。

それでは、「一手損角換わり」の後手の理想形をみてみましょう。

一手損角換わりの手順

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8八角成 ▲同 銀 △2二銀 ▲7七銀 △3二金 ▲7八金 △3三銀 ▲3八銀 △7二銀 ▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三銀 ▲5八金 △5二金 ▲6八玉 △4二玉 ▲7九玉 △5四銀 ▲5六銀 △3一玉 ▲3六歩 △4四歩 ▲6六歩 △7四歩 ▲3七桂 △7三桂 ▲4五歩 △同 歩 ▲3五歩 △4四銀 ▲1五歩 △同 歩 ▲7五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2九飛 △3八角 ▲2八飛 △4九角成 ▲7四歩 △8五桂

一手損角換わりのポイント

なんといっても、ポイントは手順最後の桂跳ねです。
一手損になっているため、8五に歩がいません。
このため、桂馬がここに跳ねる余地ができたのです。

通常であれば、7四歩と取り込まれた局面は、後手にとって不利ですが、桂馬が跳ねられることで、後手がここから攻める展開に持っていけるのです。

駒の位置が1つ違うだけで、形勢が大きく変わってしまう。将棋の奥深さを感じます。